G.G.佐藤の“1日限定復帰”が実現した背景 オーナーが考える新たなビジネスモデル

山崎オーナー「セルフブランディングが上手な方だと思います」

 確かに球界には、年間通しては無理でも、1試合限定なら往年に近いプレーを披露できる元スター選手が、まだまだ他にもいるはずだ。G.G.佐藤は「各企業に“推し”のOBがいるはず。そういうOBを復帰させて、スポンサーを獲得できればいい」とうなずいた。

 埼玉武蔵ヒートベアーズの山崎寿樹オーナーは「私はオーナーに就任した2年前から、同じ考えを持つ他球団と一緒に、1日契約をリーグに提案していました」と明かす。「もっと早く実現したかったのですが、コロナ禍に阻まれました」という事情があった。

 1日契約の導入を思い当たったのは「ファンの視点で、何が楽しいのかを考えた結果」と山崎オーナー。さらに、実際にG.G.佐藤の出場が決まると「ヒートベアーズの選手たちのテンションが上がりました。ピークは過ぎたとはいえ、一流選手のプレーを目の当たりにすることは、若い選手の刺激にも成長のヒントにもなります」と波及効果が認められた。

 特にG.G.佐藤は最近、日本代表として出場した2008年北京五輪でのエラーさえも笑いのネタに換え、YouTubeなどを通じ「失敗のない人生には成功もない。諦めなければ夢はかなう」とメッセージを発信し続けている。山崎オーナーは「セルフブランディングが上手な方だと思います。NPBを目指す選手たちに身につけてほしい能力です」と評する。次は誰が1日限定で打席に立ち、マウンドに上がるのか――。想像するとワクワクしてくる。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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