“木製バット限定”大会を開催したポニーの狙い 少年期の導入で期待される効果とは

ポニーリーグで使用されている木製バット【写真:川村虎大】
ポニーリーグで使用されている木製バット【写真:川村虎大】

球数減少で怪我予防に期待、金属バットより経済的との指摘も

 ジュニア世代から木製バットを握れば、高校卒業後も硬式野球を続けたい選手にとっては大きなメリットになる。ただ、今大会で使われた木製バットを作った美津和タイガーの古屋政己さんは、別のメリットにも期待している。

「今の自分の立ち位置が理解できるというのは、金属にない利点だと思います」

 ポニーリーグの木製バットは、主にバーチ(樺)を使用している。適度にしなって打感もあり、エンゼルス・大谷翔平投手やソフトバンク・柳田悠岐外野手らも使っている素材だ。古屋さんは「芯で捉えても、なかなか本塁打にはなりません。外野フェンスまでの距離を『プロとの差』として捉えることができると思います。プロと同じものを使用してモチベーションを上げてもらいたいという思いもあります」と語る。

 また、肩や肘の怪我の予防も期待されている。金属バットと比べて打球が飛ばないため、投手はストライクゾーンで勝負して球数を減らしたり、変化球よりも肩や肘への負担が少ない直球の割合を増やしたりする可能性がある。

 一方、保護者が気になるのは費用。プロや社会人の試合で目にするように、木製バットは折れる。時に、1試合で複数のバットを折ってしまう選手もいる。その度に、新しく買わなければならない。4日から開催された中学生の大会で折れたバットの本数は、3試合で2本。1本の価格は1万2000円ほどだという。1本3万円以上する日本製の高反発バットや、輸入コストがかかる米国製の低反発バットと比べ、古屋さんは「木製の方が安く済むのではないか」と考えている。

 打球を遠くに飛ばす楽しみを求めている選手には、高反発の金属バットが適している。だが、上のステージを目指すのあれば、早くから木製バットを使うのも選択肢の1つとなる。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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