戦力外後「頭の中がゴルフに」 元ドラ1が突如転身…NPB以外は「燃えるものなかった」

ゴルファーに転身した元中日・鈴木翔太氏【写真:小西亮】
ゴルファーに転身した元中日・鈴木翔太氏【写真:小西亮】

引退後にベストスコア76…「頭の中が一気にゴルフになりました」

 未練とは無縁の清々しさが、第2の人生をすぐ引き寄せることになる。関係者に引退の挨拶をする中で、高校時代からトレーニングの指導を受けていた女子ゴルフの高崎奈央子プロから「ゴルフやってみたら?」と誘われた。毎年、年末に帰省した際は一緒にコースを回る間柄。潜在能力を見込んでくれた上での提案であることはすぐ理解できた。

 もともとプロ野球選手の中では上手な方だった。中日時代の2019年オフに行われた納会ゴルフでは、スコア84をマークし、ベストグロスで3位だった。上位2人は、球界でも腕前がプロ級との呼び声が高い武山真吾氏(元中日バッテリーコーチ)と小林正人氏(現中日広報)だった。

 とは言っても、野球界での話。「上手なアマ」と「プロ」の間に歴然たる差があるのは、プロ野球選手だったからよく分かる。ただ、動き始めた歯車は止まらない。引退後、久しぶりにコースを回ると、いきなり「76」のベストスコアが出た。「専門の人に教わったらどこまでできるんだろうって。頭の中が一気にゴルフになりました」。湧き立つ思いに従った。

 今年1月末に地元に戻り、2月から本格的に練習を再開。プロ野球の春季キャンプとは違う“球春”の到来だった。1日最低でも1000スイング。「最初のころは、一瞬にして手の皮がボロボロになりましたね」。まずはトーナメントへの出場権が得られる予選会への参加を見据える。

 もちろん、ゴルフだって「ズルズルやるのは嫌」。30歳まで挑戦すると期限を決めた。決断は早かったが、安易だとは思っていない。「プロになる厳しさ、プロになってからのつらさは野球で体験してきたつもりです。甘くない挑戦だとは分かっています」と覚悟する。

 それでも、突き進む人生はやめられない。「体も動く。挑戦してみたい気持ちがあるんです」。まだ26歳。自らの可能性を否定する理由は、どこにもない。

【実際の映像】練習場に響く打球音…元中日・鈴木翔太氏、軽やかなゴルフスイングを披露

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