阪神・伊藤将司がプロ初完封できた理由 名コーチが絶賛した「直球と錯覚する魔球」
「佐々木朗は相手打者がバットを振れないが、伊藤将はバットを振らせて抑える」
打撃コーチの立場として見ても、伊藤のツーシームはやっかいな球になるという。「当然、巨人サイドも『落ちるボールに手を出すな』と伝えているはず。ですが、打者本人がそうは思っていない。もう少し球速が遅ければバットは止まるのですが厳しかった。ストレートとツーシームの球速差が絶妙で、どちらか判断できない」。
パ・リーグでは160キロを超えるロッテ・佐々木朗、ソフトバンク・千賀ら速球派が注目を集めているが、伊藤将は真逆の存在ともいえる。「佐々木朗は相手打者がバットを振れないが、伊藤将は相手にバットを振らせ打たせて抑える。ピンチでも抑える投球術を持っている」。ルーキーイヤーの昨季も140回1/3を投げ79三振、奪三振率は5.07と決して高くはない数字だが、10勝をマークできたのはそれなりの理由はあるという。
4月13日に新型コロナウイルスの陽性判定を受け、この日が46日ぶりの登板となったがブランクを感じさせない投球だった。チームは開幕から苦しい戦いを強いられていたが、伝統の一戦で勝ち越し。交流戦を前に頼もしい左腕が帰ってきた。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)