空振りで安打の確率が上がる!? 失敗を成功につなげる強豪中学監督の“声掛け”
強豪の上一色中では、空振りの後に「次は打てるぞ」と声が飛ぶ
練習通りに打てない――。試合で凡退を繰り返し、悩んだ経験のある少年野球の子どもたちは少なくないだろう。全国大会の常連となっている東京・江戸川区の上一色中学校野球部を率いる西尾弘幸監督は、空振りや凡退をすると「打てる確率が上がる」と選手に伝えている。
最近7年間で春夏合わせて8度の全国大会出場を誇る上一色中では、試合で味方が空振りをするとベンチから「次は打てるぞ」と大きな声が飛ぶ。仲間を励ます効果もあるが、西尾監督は「空振りをすると、打てる確率が上がります」と語る。
「人間は修正能力を持っているので、空振りをした後に同じ球が来ればバットに当たる確率が高くなります。ヒットになるかは分かりませんが、バットに当たらなかった状態からは前に進んだわけです。この進歩が大事で、『次はいける』と前を向くのか、『空振りしてしまった』と捉えるのかで結果が変わります」
ベンチにいる選手たちは打席に立つ仲間の背中を押す。一方、西尾監督は凡打でベンチに戻ってきた選手に、客観的なアドバイスを送って次の打席に備えさせる。
「選手たちは、みんなで『次は打てるぞ』と声を出して、仲間を気持ちの面でサポートしています。私は、次以降の打席で結果を出せるように、修正点を指摘します。指導者も保護者も『なんで打てないんだ』と言いがちですが、私は『膝より下の球だったから、ストライクゾーンを上げてみよう』『今の球を見逃せたら、次の打席でチャンスがあるぞ』というように声を掛けています」