ボールを「蹴って集める」狙いとは 元プロ選手が常識にとらわれないシニア立ち上げ

多摩リトルシニア・佐伯秀喜監督【写真:川村虎大】
多摩リトルシニア・佐伯秀喜監督【写真:川村虎大】

野球塾を開いて芽生えた疑問「教えられる技術がまだまだある」

 51歳の佐伯監督は、自身が中学や高校生だった頃には考えられないような指導もしている。打撃練習が終わると、選手たちにボールを蹴って集めることを認めているのだ。決して練習態度を軽視しているわけではなく、成長期に多く、ボールをかがんで拾うことでリスクが高まる腰椎分離症などを予防することが目的だ。「野球を楽しむ」をモットーとするチームにとって、怪我でプレーできなくなるのは最も避けたい事態なのだ。

 佐伯監督がチーム発足を決意したのは2年前だった。それまでは、2016年から野球教室を開催し、2019年には会社を設立して野球塾を開いていた。子どもたちを指導する中で、ある思いが沸いた。「野球塾に練習に来る強豪チームの選手たちに、自分が教えられることがたくさんあるのでは」。多くの指導者がアマチュアで野球キャリアを終了させているのに対し、自身はプロの世界を経験できた。

 また、保護者の声を聞くと、美徳とされがちなチーム優先、連帯責任などにより、野球を学びたいという個人が犠牲になっているのではないかと感じるようになった。

 佐伯監督は中学生世代に野球を楽しむ環境や技術を学ぶ機会が不足していると考え、自らチームを立ち上げると決めた。「まだまだ始まったばかりですから」。常識にとらわれず、選手が楽しく上手くなる環境を整える。元プロが新たな挑戦をスタートさせた。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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