ボールを「蹴って集める」狙いとは 元プロ選手が常識にとらわれないシニア立ち上げ

練習を行う多摩リトルシニア【写真:川村虎大】
練習を行う多摩リトルシニア【写真:川村虎大】

元西武・佐伯秀喜氏が率いる「多摩リトルシニア」は4月に活動を開始

 打撃練習が終わると、選手たちは足でボールを集める。元西武・佐伯秀喜監督が率いる中学硬式野球「多摩リトルシニア」では日常の光景だ。決して選手の態度が悪いわけではない。指揮官の明確な狙いがある。

 今年4月に東京・多摩市で活動を開始した「多摩リトルシニア」は、チーム発足前から話題になっていた。1月から大々的にメンバー募集する予定だったが、口コミで希望者が集まり昨年末に定員の20人に達した。人気の理由は、西武で内野手としてプレーした佐伯監督が打ち出した「個を伸ばす指導」にある。

「中学の硬式チームの目的は教育ではないんです。部活とは違います。挨拶や礼儀は学校で教えるもので、チームでは野球を楽しむ、野球の上達が第一なんです」

 佐伯監督の指導方針は「個の技術を伸ばすこと」にある。そのために工夫を凝らす。公式戦以外では選手に木製バットを使わせているのは、ボールを芯で捉える技術を磨くため。木製は金属と違ってバットの芯に当たらないと打球が飛ばない。また、投球や打球をデータ解析する「ラプソード」や、眼球を鍛える「ビジョントレーニング」といった自身の現役時代にはなかった機器や練習方法も積極的に取り入れている。「あくまでツールです。新たな技術で子どもたちの選択肢が増えればと思っています」と語る。

野球塾を開いて芽生えた疑問「教えられる技術がまだまだある」

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