ヤクルトとソフトバンクの勝負を分けた“差” 違い過ぎた主砲の状態と巡り

チャンスで好調な村上に回るヤクルト、不調な選手に回ったソフトバンク

 そんなチーム状態がゲームの流れにも現れた。その典型が6回だ。ヤクルトは9番の長岡からの連打でチャンスを作り、2死満塁という絶好機で村上に打席が巡ってきた。ソフトバンクベンチとしては押し出しでも同点に追いつかれる場面。勝負せざるを得ない状況で絶好調の主砲を迎えてしまった。

 村上はこの千載一遇のチャンスを一振りでモノにした。5回の2ランもそう。初回も得点には繋がらなかったものの、1死一、二塁のチャンスで村上に打席が回ってきていた。いいサイクルにある流れそのままに、調子のいい村上のところにチャンスが巡ってきていた。

 一方のソフトバンクは頼みの柳田やグラシアルが不振。野村勇の2ラン、松田の2点適時二塁打で4点を奪ったものの、6回2死一、二塁の場面では途中出場の甲斐に打席が回り、7回には先頭の周東が四球で出塁しながら盗塁に失敗。10日の試合でも好機で状態の悪い打者に回っており、チグハグさと巡りの悪さを感じる展開だった。

 優勝したヤクルトは6月に入ってリリーフ陣が無失点を続けている。投打の歯車がガッチリと噛み合っている昨季の日本一球団と、うまく歯車が噛み合わないソフトバンク。そんなチーム状況を如実に表すかのようなこの2試合だった。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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