一塁到達最速タイム生んだ“究極のヘッドスライディング” パの快足トップ5は誰?
巡ってきたチャンスをものにした高部、三森は“青木打法”の後継者?
4位には、今シーズンからその潜在能力を開花させ活躍中の高部瑛斗外野手(ロッテ)による内野安打が食い込んできた。そのタイムは3秒79。このときのバッティングは、低めの変化球に誘い出されて頭が突っ込んでしまい、決して良い形ではなかった。だが、こと走ることに関していえば好都合。打ち終わった形からすでに一歩目を踏み出している体勢であり、内野安打とするにはむしろ好スタートになった。
現在、パ・リーグで盗塁王争いにも名を連ねている高部は、昨年からその俊足ぶりを随所にアピールしていた。だが、外野には荻野貴司、岡大海、レオネス・マーティンと好選手がいて、なかなか層が厚かった。今年は荻野がキャンプ中に故障離脱したことで、空きができた外野の一角に収まり奮闘している。その決め手となったしぶとく泥臭い走りが、この一打にもにじみ出ていた。
3秒76という好タイムで3位につけたのは、すでに5位入賞を果たした三森だ。しかも、このときはなんの変哲もないショートゴロを内野安打にしてしまった。
走者二塁という場面ゆえ、ロッテのショート・エチェバリア内野手は捕球後、二塁走者を釘付けにするため目線を二塁に向けてから送球した。その一瞬が命取りとなった格好だ。
特に注目すべきは、三森の打ち終わった直後の踏み出し足の運び方である。5位のタイムを記録したときの打席では、4位の高部と同様、変化球に体勢を前に崩されたスイングとなり、振った勢いのままスタートしていた。だが、この打席では、ある程度頭を残したスイングで逆方向へ打っていながら、右足はもう一塁ベースにステップしている。打ち終わる前に走塁動作を始めていた。
この打法は、現在もヤクルトで活躍している青木宣親外野手がまだピチピチの若手だった頃、2005年にセ・リーグで首位打者を獲得した時に得意としていた。いわゆる、「最初から内野安打狙い満々」の打ち方だ。
もし、意図的にこの打法をしていたのなら末恐ろしい。不調の際にも打率をキープする有効な技術となるので、今後、首位打者争いに加わってくる期待も膨らんでくる。