日本ハム万波中正の“規格外”の打撃スタイル 異次元の打撃指標が示す大器の片鱗
希少とも形容できるほどの四球率とIsoDの数値…
万波がこれまでに記録した各種の指標を見ていきたい。
2019年は1軍での4打席のうち、半分の2打席が三振だった。その後も2年続けて出場試合数を上回る三振を記録する一方で、四球は2021年が4個、2022年はここまで2個と、極めて少ない。
その結果、2022年における四球率、IsoD(出塁率と打率の差)、BB/K(四球数を三振数で割って求める)といった打席での“忍耐力”を示す指標は低水準に。四球率とIsoDに関しては、ある意味、希少と形容できるほどの値を叩き出している。その一方で、長打率は2年続けて.400超え。万波は俊足でもあり、三塁打は2021年は1本、2022年は既に2本。脚力を生かして貪欲に先の塁を奪う姿勢は大きな強みだ。
また、今季は得点圏打率は.289と、打率を上回っており、勝負強さを見せている。まだ粗さが目立つが、ピンチを迎えてより慎重な投球を心がける相手投手に対して、幾度となく痛打を浴びせているのは興味深い。ここまで紹介してきた成績にも示されている思い切りの良さが、勝負強さを支えている可能性はある。
当然、四球を多く選び、三振は少ない方が打者の評価は高くなる。だが、万波の場合は持ち前の豪快な打撃と、走塁の双方で発揮される思い切りの良さが、長打力と勝負強さという特徴につながっている。型破りといえる成績の数々は、万波の魅力を端的に示すものだろう。