大阪桐蔭を倒す秘策は少年野球にあり!? 履正社が“カリスマ監督”に指導仰いだワケ

履正社高・多田晃監督(左)と多賀少年野球クラブ・辻正人監督【写真:川村虎大】
履正社高・多田晃監督(左)と多賀少年野球クラブ・辻正人監督【写真:川村虎大】

無死一塁から1死三塁をつくる“多賀野球”を伝授

 一方で、前田にけん制で2度刺されるなど課題も残った。「もうワンランク上の盗塁、走塁を目指す」。そのために白羽の矢を立てたのが、野球の戦術を小学生に熟知させ、隙のない走塁で全国制覇を成し遂げた多賀少年野球クラブの辻監督だった。辻監督の次男・心薫(もとまさ)さんは履正社出身で、「1番・三塁」として2014年の選抜大会準優勝に貢献している。当時、コーチだった多田監督は、親交のあった辻監督に指導を依頼した。

「少年野球と高校野球という年齢は関係なく、辻監督の指導はうちのチームにプラスになると思いました」

 辻監督による約3時間の指導で大半を占めたのが、無死一塁からの練習だった。ここから1死三塁をつくって得点するのが、“多賀野球”の得意パターン。辻監督は、盗塁したり相手のミスを誘ったりと、チャンスを拡大させる様々な方策を履正社ナインに伝授。「1死三塁をつくれば内野ゴロでも得点できます。相手投手のクセは遅くとも3回までに見抜いてチームで共有することが大切。打力や体格では大阪桐蔭にも負けていませんから」と語った。

 攻撃で1死三塁をつくるように工夫を凝らし、守備では1死三塁をつくられないように考える。辻監督の教えを受け、履正社の選手たちに掛け声や話し合いが増えた。「見るからに変わっていました。ベンチ内でも議論が増えましたよね」と多田監督。プロも注目する光弘帆高内野手は「考えというか、意識が変わりました。今までは『打ってつなぐ』という打撃を中心に考えていましたが、得点を取るために先の塁に走者を進める大切さが分かりました」とうなずいた。

「走塁に対する意識が定着すれば、恐ろしいことになりますよ」と辻監督。履正社の“秘策”は今夏、明らかになる。

◇履正社高のHPはこちら◇
https://riseisha.ed.jp/

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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