「野球を辞めたい」と言った息子、父は「ありがとう」 たどり着いた驚きの結末

投手をやりたいことを監督へ直談判、その答えは…

「本人は希望を言っても『絶対にやらせてもらえない』と思っていたようでした。しばらくは悩んでいたんですが、監督に直談判してみようよという話になりました。ダメならばそこで野球を辞めるだけのこと。もう失うものはないんだから、と」

 本音を言うと、転籍してきたこともあり、卒団までの残り約半年間、このチームで最後までやり遂げてほしい思いが父の中にはあった。

 ある土曜日の朝。一人で監督に意を決して伝えにいく覚悟を持って、息子は父よりも少し早く家を出た。数時間後、父がグラウンドに向かうと、晴れやかな表情をする息子がいた。

「監督が『いいよ』って。『明日先発で投げてみようか』とも言われた、と。私もその後、監督のところへなぜOKしてくれたのか確認をしたら『自分から初めてやりたいことを言ってきてくれた。私がダメという理由はないですよ』と言ってくれました。そこが始まりでしたね」

 絶対にやらせてもらえないだろう、と思っていた。Aくんの心の中には“監督から怒られる”という恐怖があったという。理由は前に所属していたチームにあった。怒鳴る指導者のもとで野球をやっていたため、子どもながらに『意見を言ったら、怒鳴られる』と思い込んでしまっていたからだった。小さい頃に受けた恫喝はその一瞬だけではなく、その後にも影響を及ぼす“害”となる。子どもの未来を奪う危険性がある。

投手を始めると、打撃も復調し、地域の大会で優勝に貢献

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY