清宮なら「勝手にホームランが出る」 専門家が提言する“中距離打者の勧め”
燕・村上の急成長は「我慢して使ってもらえた時期があったからこそ」
清宮は、ヤクルト・村上宗隆内野手と同学年で同期の2018年入団。昨夏の東京五輪で金メダル獲得に貢献し、今季は3冠王を狙える成績を残している村上には、今のところ大きく差をつけられている。石井氏は「村上君がここまで成長できたのも、打てなくてもエラーをしても、我慢して使ってもらえた時期があったからこそ」と見ている。
村上は2年目の2019年、36本塁打を放つ一方、打率は規定打席到達者で最も低い.231、セ・リーグ歴代最多の184三振を喫し、守っては15失策を犯したが、それでも全143試合に出場した。この経験が、翌2020年の最高出塁率のタイトル、昨年の本塁打王獲得とMVP受賞につながった。
早実高時代に歴代最多とされる高校通算111本塁打を放った清宮には、どうしてもホームランの期待がかけられるが、石井氏は「自分はホームランバッターだと意識してしまったら、アベレージが残らなくなる。中距離打者を目指せば、彼なら勝手にホームランも出ますよ」と話す。まさに“ヒットの延長がホームラン”の心構えを勧める。
石井氏は西武時代の2005年、交流戦で打率.400(110打数44安打)をマークし“首位打者”に輝くと、オールスターに出場し、そのままシーズン終盤まで好調を維持。プロ9年目で初めて規定打席に到達し、リーグ4位の打率.312(414打数129安打)で終えた。「レギュラーをつかみたい、チャンスを逃したくないという一念でした。余計なことを考えなかったのが良かった。ただシーズン終盤になって、首位打者の可能性があると報道され、それを意識して成績を落としてしまったことが少し悔まれます」と振り返る。
シーズンは長い。石井氏は清宮の今後の課題として、1軍出場の緊張感からくる疲労、相手に研究された時にどう対処するか、などを挙げる。その上で「欲を持たず、少しずつ自分の打撃を向上させようと考えた方がいい。周りがどう言おうが、自分が潰れたら終わりですから」と自身の経験を踏まえてエールを送った。
○石井義人(いしい・よしひと)1978年7月12日生まれ、埼玉県出身。浦和学院高(埼玉)では1年夏から甲子園に出場。1996年のドラフト4位で横浜(現DeNA)入り。02年に西武へ移籍。05年は規定打席に到達し、打率3割1分2厘、リーグ4位の成績。12年から巨人でプレーし、同年CS最終ステージでMVP。現役引退後はルートインBCリーグ武蔵の打撃コーチ、女子プロ野球の野手総合コーチとして活動。昨年は学生野球資格回復。現在は埼玉県内で「ジャッキー33野球教室」を開講中。公式インスタグラムは@jackie___335(jackieの後はアンダーバー3つ)
(Full-Count編集部)