なぜ怒声罵声がなくならない? スポ根卒業で2度の全国制覇…少年野球監督が分析

スパルタのような指導を2017年に全面的禁止→18、19年に全国制覇

 今年54歳になった辻監督は、怒声罵声や根性論が一般的だった時代に高校生まで野球を続けた。20歳で現在のチームを立ち上げた当初は、自ら大きな声を張り上げて厳しく選手を指導する時期が長くあったという。気合いや根性、スパルタのような指導を全面的に禁止にしたのは2017年。指導方針を変えてから、チームの入団希望者が大幅に増えた。

「20年以上前から毎年のように全国大会に出続けていますが、当時は選手が各学年に5人ずつくらいでした。今は、園児から小学6年生まで合わせて80人近くなりました。メンバーが増えたのは、スポ根を卒業してからです。全国大会で勝てるチームだから人が集まっているわけではありません。実際、体験や入団してから日本一になったチームだと知る親子も多いです」

 昭和と令和では、保護者が少年野球チームに求める役割は変化している。少子化や働き方改革で子育てにかける時間が以前より増えており、辻監督は少年野球の指導も時代のニーズに合わせる必要があると力を込める。

「昔は仕事や他の兄弟の世話で忙しい家庭が子どもを野球チームに預けて、礼儀や技術をビシビシ指導してほしいと考えていたと思います。ただ、今の保護者は幼児や小学校低学年の子どもを野球チームに入れる時、昔ながらの指導や強さを基準にして選びません。いくつものチームを体験して、子どもを楽しませるだけではなく育成力のあるチームを見極めます。私も以前やっていた罵声を浴びせて、子どもたちに『なにくそ!』と思わせる指導は今では求められなくなったと実感しています。目指しているのは勝利理想主義です」

(間淳 / Jun Aida)

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