“日本一小さなグラウンド”から目指す甲子園 選抜王者・大阪桐蔭を苦しめた新星とは?

急成長野球部の意外すぎる練習環境、狭さなら日本一

 躍進した昨夏はベスト8入り。過去最高成績だった。指揮を執る岡野穂高監督は同校OBで、大体大在籍中の2016年からコーチとして指導し、2年前に監督に就任した。まだ、25歳と若く、選手にとっては兄のような存在でもある。急成長の理由は「校内で指定クラブになったから」だという。現在87人の部員が在籍。今年の1年生は、2年生の倍を上回る43人が入部した。

 しかし、その練習環境には驚く。「日本一小さなグラウンド」を自称しており、ダイヤモンドがぎりぎり確保できるほど。その狭いスペースを他の部活動と共用し、的場の入学当時にあったブルペンは場所を確保するために取り壊されてしまった。投球練習は組み立て式の簡易マウンドを使用している。「足が滑るし投げにくい。でも、球場へ行くとマウンドがしっくりときて投げやすくなる」と的場は逆境を逆手に取っている。

 岡野監督は「急激な部員数増加で練習道具が足りていない」と苦笑いを浮かべるが、硬式球とソフトボールと大量のミニボールを使い、限られた環境の中でも工夫した練習を取り入れている。また、守備練習も困難を極め、「うちの外野手は守備の練習ができないので、打てないとメンバーには入れません」と、打に振り切った選考を取り入れている。

 部員が密集したグラウンドでは1つの失投や打ち損じが仲間の大怪我に繋がるため、全員で周囲へ気を配りながら一球、一打に全力集中する。打の主軸も担う的場は「練習環境はハンデと思っていません。ティー練習がたくさんできるのでバッティングが上手くなり、試合でもしっかりと面でとらえることができています」とグラウンドを見渡した。

最後の夏へのラストスパート 制球力に磨きをかける

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