くすぶっていた丸佳浩“覚醒”の契機 イチロー恩師と築いた5年目の打撃開眼
バットが円を描くスイングを修正、最短距離でボールをインパクト
当時、丸の打撃フォームはバットが円を描くようなスイングだったという。遠心力を使って打球を飛ばすが、どこか安定感がなかった。そのため、打撃フォームの修正に取り組み「トップから直線的に最短距離でボールにインパクトする。『馬力はあるんだから、それでもボールは飛んでいく。逆方向へは低く強い打球を徹底していこう』と伝えました」とアドバイスを授けた。
リーグが違う他球団からのコーチの助言にも、丸は真摯に耳を傾け、新たな打撃フォームを固めていった。そして、2013年シーズンは開幕戦に「2番・中堅」でスタメン出場すると、そのまま、好調をキープして3番を務め、終盤には1番に定着した。最終的には140試合に出場して、チーム3冠となる打率.273、初の2桁となる14本塁打、58打点をマーク。さらに29盗塁で盗塁王に輝き、守備でもゴールデングラブ賞を獲得した。
「丸は完全に今までと違う打ち方でシーズンを過ごし、不安もあったと思うが、自分の打撃を確立していった。他の選手も試合の中で力を付けていき、結果を出すにつれて自信も出てきた。丸を含めてカープの選手は自分が関わってきたチームの中で一番素直。これからの選手が多く、やりがいも感じていた」