3年ぶり復活した音色に「心が高鳴った」 本塁打を呼んだスタンド“応援”が持つ意味

夏の神奈川高校野球に戻ってきた吹奏楽部の様子【写真:大利実】
夏の神奈川高校野球に戻ってきた吹奏楽部の様子【写真:大利実】

神奈川で今春から復活したブラスバンド応援、夏の風物詩が球場に戻る

 鎌倉学園は、毎年6月に平塚球場で「3年生試合」を実施している。今年は吹奏楽部に応援をお願いし、夏の雰囲気を体感した。

「あのときの経験が、大きかったと思います」

 2013年から指揮を執る、OBの竹内智一監督の言葉である。

「ブラスバンドの応援を受けてプレーする経験を、彼らは一度もしていません。実際に経験すると、グラウンドの声がなかなか通らないことがわかります。『声が通らないのが夏だぞ』とずっと言ってきましたが、3年生試合でその意味を感じてくれたと思います」

 セカンドを守るキャプテンの佐々木晴生は、常に甲子園球場を思い描いているという。

「日頃の練習から、4万7000人の甲子園の観客の中でも通る声を意識しています。そのためには、腹から声を出す、迷わずに声を出す。今日は、それができたと思います」

 8回裏、「アッコちゃん」の応援に乗って、追加点を奪い、8-2で勝利。スタンドの応援を力に、悲願の夏の甲子園出場を狙う。

 第2試合は、川和対戸塚の実力校同士の対決となった。

 川和は1回裏に1点を先制し、なおも2死二塁のチャンスを迎えた。5番・青柳知樹内野手は、応援席から聴こえてきた曲に胸が高鳴ったという。大会前にお願いしていた、『Brand New Sky』(『実況パワフロプロ野球2018』オープニング曲)が流れてきたからだ。

「大阪桐蔭が甲子園で使っていて、かっこよかったので、リクエストしました。初回、あの応援歌のおかげで気持ちよく打席に入れて、そのリズムに乗って打てたのかなと思います」

 1ボールからのストレートをフルスイングで捉えると、レフトの場外に消える先制3ラン。青柳は一塁側の応援席に向けて、右手を突き上げた。

 その後、試合は1点を争う熱戦となり、8回裏に勝ち越した川和が5-4で勝利。9回表は2死満塁まで攻め込まれるも、しのぎ切った。

スタンド応援含めての高校野球を実感できる夏

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