“広場恐怖症”と闘いながら都市対抗に出場 元ロッテ左腕が現役を続けるワケ

平日は一般企業の営業職、チームではロッテの経験を若手に伝える

 野球漬けだったロッテ時代とは対照的に、全府中の活動は週1-2回程度だ。平日は一般企業の営業職として、埼玉県内の自宅から毎日約2時間かけて担当の栃木、茨城へ車を走らせている。「実は独立リーグなどからもお話をいただいたのですが、クラブチームであれば一般企業の仕事にも就けることが魅力でした。今は仕事を覚えるのに必死です」と言いつつ口元をほころばせる。

「短時間であれば、なるべく頑張って電車にも乗るようにしています。乗客の多い東京都内は無理ですし、その日の調子にもよりますが、完全に避けてしまうと症状が良くなりませんから」とも。4歳下の妻で看護師の紗央里さん、4歳の長女の存在が心の支えだ。

 毎晩タオルを手にシャドーピッチングに取り組んでいるが、野球のコンディションを維持するのは容易ではない。「これほどストライクを取るのに苦労するとは思いませんでした」と頭をかきつつ、「ロッテでチームや先輩方から教わった技術、練習メニューを全府中の他の投手に伝えています」と新たな役割にもやりがいを感じている。

「できる限り長く野球を続けていきたいです」と清々しい笑顔を浮かべる永野。病気を言い訳にせず、前向きに人生に立ち向かう姿は、多くの人たちとって指針になるのではないだろうか。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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