なぜ高校時代に157キロ投げられた? 元燕・由規が伝授、球速UPに繋がった練習
ブルペンのポイントは、速い球を投げる感覚と強度を体に覚え込ませる
由規は仙台育英高3年の時に、自己最速157キロを記録。ヤクルト入団3年目の2010年には、当時の日本人投手最速記録を更新する161キロを計測した。高校時代から剛速球で知られていたが、ある日、急に球が速くなったわけではない。
「ひたすら投げ込みをしていました。その中で1球でも『これかも』という感覚があったら、その感覚に近づけるようにしていました。特別な練習をしたわけではなく、根気強くやっていくうちに体が自然と覚えていきました」
由規は、練習から全力で投げられる体をつくり、速い球を投げる感覚を体に覚え込ませる作業が大切だと強調する。例え150キロを投げられる投手でも、コントロールを重視して140キロ台前半に抑えて投げ続けていると、体の強度や使い方が普段の球速に合わせた形になってしまうという。投手コーチ兼任の立場になった今、選手には、こう伝えている。
「例えば142、3キロを投げる投手に対して、練習のブルペンで30球投げるなら、25球はバランス良く、自分が意識したようにバッターを想定して投げる。残りの5球は、コントロールやフォームを気にせず、とにかく全身を使って投げるよう指導しています。全力で投げる強度を1回出しておくことによって、体が覚えていてくれます。それを練習の時にしていないと、142、3キロしか投げられないままなんです」
速い球を投げるには、体の使い方にもポイントがある。由規が挙げるのは「体を回すスピード」。ボールにより強い力を加えるには、腕の振りだけではなく、体の捻りを利用することが大切だという。重いものを持って体を捻るトレーニングは一般的だが、由規が子どもの頃に何気なくやっていた体を大きく使って野球ボールより重いドッジボールを投げることも理にかなった方法と言える。
「投手は、マウンドからホームベースまで18.44メートルという決められた距離、決められた場所から投球します。外野手のように助走をつけられません。反動とまではいきませんが、いかプレートを使って自分で助走を作って回転できるかがポイントになります。そうすると、体を捻る動作を効率良くできる方法を考えると良いと思います」
身長179センチでも、最速160キロを超える直球を投げ込んだ由規。体の使い方やブルペン投球での意識は、少年野球の子どもたちにも球速を上げるヒントになる。
(新保友映 / Tomoe Shinbo)
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