速球と変化球、肩や肘に負担がかかるのは本当はどっち? 理学療法士が解説

変化球より直球の方が肩と肘に強い負荷が加わると考えられる

 まず9歳から14歳を対象にしたものです(※1)。この研究では、直球とカーブとチェンジアップを投げた時の肩と肘の負荷を計測。最も負荷が大きかったのは直球で、チェンジアップは直球の約80%、カーブは同じく約90%という結果が出ています。

 次に,14歳から18歳の学生を対象にした研究です(※2)。直球とカーブを投げた時の肩と肘の負担を計測したこの研究でも、直球のほうが負荷が大きいという結果が出ており、カーブの負荷は直球の約90%でした。

 この2つの研究から,変化球よりも直球の方が肩と肘に強い負荷が加わると考えられます。しかし、カーブであっても直球の約90%の負荷が加わるので、安全と考えることはできません。また、メジャーリーグの投手を対象とした研究ではスライダーについてのデータも出ており、直球と同じか少しだけ負荷が小さいという結果が出たそうです。今回紹介した研究にスライダーは含まれていませんでしたが、成長期の投手にも直球と同程度の負荷がかかると理解したほうがよさそうです。

 直球を投げたときの肩と肘への負荷は球速に依存すると言われています。速いボールを投げられる選手ほど負荷が大きいと考えてください。変化球を投げることで肩や肘に極端に大きな負荷が加わるわけではありません。直球のほうが負荷が大きいだけに、球数や試合数に応じて蓄積されると考えてよいと思います。球数の管理や計画的な休養をとることが何よりも大事なのではないかと考えられます。

▼参考文献
※1 Dun S et al. A biomechanical comparison of youth baseball pitches: is the curveball potentially harmful? Am J Sports Med. 2008 36(4):686-692.
※2 Nissen CW et al. A biomechanical comparison of the fastball and curveball in adolescent baseball pitchers. Am J Sports Med. 2009 37(8):1492-1498.

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(Full-Count編集部)

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