父は元中日左腕…夢をかなえた“兄弟登板” 「心動かされた」兄が弟に託す日本一
次男・比呂も先発登板、兄弟でマウンドを経験した
そして、この日、歩人の2学年下の弟・比呂投手(1年)も聖地デビューを果たした。青森大会ではわずか3イニングしか投げていないにもかかわらず、愛工大名電を相手に先発を任された。初戦で星稜(石川)から15安打14得点を奪った強打線に対し、5回を4安打1失点(自責0)で抑えた。勝利という結果には結びつかなかったものの、仲井宗基監督も「結果としては負けましたが、(比呂の投球のおかげで)こういうゲームになったと思います」と称えた。
比呂が投げている間、歩人もベンチから声を上げ続けた。「本当に大舞台で1年生らしからぬピッチングでした。自分も野球人として心を動かされた」。一緒に戦った4か月。「光星に入学してくれて感謝しかない。弟と一緒に野球ができて、結果は悔しいんですけど、楽しかったと伝えたい」とここでも感謝の言葉が口をつく。
父の思いを継いで、聖地のマウンドに立った2人。歩人は「この負けを次につなげていかないと。負けてよかったなと思える甲子園にしたい」と振り返った。「(比呂は)まだまだ甲子園に出るチャンスはあるので、この経験を糧にしてほしい」。逆転負けの悔しさ、そして東北勢初の日本一へ――。思いを弟に託す。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)