弱小公立高からプロの盗塁王に　夢を叶えた習慣「言い訳探してもうまくならない」

言い訳は不要「大事なのは与えられた環境でどんな練習をするか」

　本やテレビではなく、大学では目の前に手本となる選手があふれている。聖澤さんは、自分がうまくなるチャンスに喜びを感じた。1年生の時は試合のメンバーに入れず、打撃練習を外されることもあったが、上級生をサポートしながら自分との違いを研究した。時には、先輩に質問した。スイングする力の差を実感するとウエートトレーニングで体幹を強化し、素振りの回数を増やした。

「うまくなれる環境をうれしがっているだけでは駄目なので、4年間かけて立場を逆転させようと考えていました」

　2年春にレギュラーをつかむと、3年秋には三塁手で東都リーグのベストナインに選出された。4年には主将を務めるまでの選手となり、4年秋のドラフト会議で楽天から指名を受けた。高校までは無名でもプロ野球選手になれると証明し「強豪高校に進めなかったからといって、夢をあきらめる必要はありません。中学の野球部でも、地元の公立高校でも、うまくなる方法を自分で考えて練習すれば、プロになるチャンスはあります」と強調。そして、こう続けた。

「公立と私立は練習環境が違います。地域によっては雪が降る、雨が多いところもあります。環境が悪いからうまくなれないのではなくて、与えられた環境でどんな練習をするのかが大事です。言い訳を探してもうまくなりません」

　強豪校への進学だけがプロになる方法ではない。上達できるかどうかを決めるのは結局、自分自身なのだ。

（間淳 / Jun Aida）