バットスイングの「最短距離」ってどこ? 元楽天外野手が指摘する“誤った”素振り

素振りは前を向いて投球をイメージ、「最短距離」の誤解に注意

 アカデミーで子どもたちの素振りを見ていると、間違ったやり方をしているケースが多いという。

 まず、聖澤さんが指摘するのは、下を向いてスイングしている選手。素振りの目的は、投球に対応する技術を身に付けることだ。18.44メートル離れたマウンドから来るボールのコース、高さ、軌道をイメージしてバットを振らなければ、効果は上がらない。聖澤さんは「投球は前から来ます。下を向いて素振りをするのは、ただの時間つぶしになってしまいます。投球をイメージして丁寧にバットを振るのが、正しい素振りです」と話す。

 その他に、少年野球の子どもたちがやりがちな間違いには、最短距離を“誤解”した素振りがある。バットを内側から出して最短距離で投球を捉える打ち方を理想に掲げる指導者は多いが、言葉の意味を正しく理解できず、文字通り「最短距離」で素振りをする子どもがいるという。武士が刀を使うように、バットを引いた位置から斜め下にバットを振り下ろしてしまうのだ。

 これではスイングが投球の軌道に合わないため、バットにボールが当たらない。聖澤さんは「最短距離でバットを出すこと自体は間違っていませんが、上からバットを振っても打球を飛ばすための最短距離にはなりません。横から振った上で、バットが遠回りしないように心掛ける必要があります」と説明する。

 素振りは地味で、少年野球の子どもたちにとっては継続するのも難しい。だが、重要視するプロ野球選手が多いことを見れば、効果がある練習と考えられる。素振りで打撃を上達させたい意欲を無駄にしないために、正しい方法を知っておきたい。

(間淳 / Jun Aida)

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