82歳“おばちゃん”が辣腕振るう少年野球チーム 部員130人の大所帯…なぜ人気?

部内の悩み事はその都度、82歳の“おばちゃん”が解決「相手の受け止め方が違う」

 野球チームを越えた指導をすることも人気の一つだ。棚原さんの役職は“おばちゃん”。箸の持ち方や、ユニホームの洗濯、電話の掛け方まで指導する。

 各学年ごとに監督、コーチがおり、もめ事や悩みがあればその都度解決する。おばちゃんも学年全体を見渡し、必要であれば手伝う形だ。三男でチームの総監督を務める徹さんは「おばちゃんだから安心するというのもある」と話す。

「やっぱり僕らが言うと『監督にはわからへん』ってなることもあるんですけど、おばちゃんが言うと相手の受け止め方が違う。他チームから『どうやったら人集まるんや』って聞かれるけど、真っ先に『いいおばちゃんを見つけること!』って返しますよ(笑)」

 実際に子育てだけでなく、家事や食事の作り方まで相談を受けることもあり、“料理教室”を開くこともある。「野球だけで来てもダメ。勉強だけやってもダメ。今の30代~40代の親御さんが子どもを次の世代に育てられるようにサポートすることも役目だと思うんです」と棚原さん。保護者を支えることも役目だと考えている。

 チームが目指しているのは自立。「周りがちゃんと見える子どもに。心が育っていかなければいけない」。“おばちゃん”の臨機応変な対応を見て子どもたちが自ら考えるようになる。保護者は安心してわが子を預けている。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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