最下位・中日に“希望の光” 村上宗隆を上回った若手&主砲…セイバー目線の9月MVP
投手部門でも「RSAA」トップ5に中日2投手がランクイン
投手の評価には、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標「RSAA」を用いる。今月のRSAAトップ5は以下の通り。
小笠原慎之介(中日)
4勝0敗 RSAA 7.46 防御率 1.51 WHIP 0.93 QS 5 (100%) K/9=10.6
サイスニード(ヤクルト)
2勝1敗 RSAA 5.00 防御率 1.17 WHIP 1.17 QS 4 (80%) K/9=5.28
石田健大(DeNA)
3勝1敗 RSAA 4.87 防御率 0.76 WHIP 0.80 QS 3 (75%) K/9=7.61
松本竜也(広島)
2勝0敗1H RSAA 3.95 防御率 0.77 WHIP 0.94 K/9=13.11
高橋宏斗(中日)
2勝2敗 RSAA 3.30 防御率 2.96 WHIP 0.86 QS 2 (50%) K/9=12.54
投手部門でも中日の2選手の活躍が目立った。高橋宏はスプリットとカットボールで空振りを奪い、月間奪三振率12.5を記録。シーズンを通じても規定投球回数に達していない(116回2/3)にも関わらず、奪三振134はリーグ3位。K/9も10.34となった。7月以降登板した10試合のうちHQSは8試合。イニングイーターとしての片鱗もみせ、大野雄大、柳裕也に次ぐエース格と言える活躍ぶりだった。
そんな高橋以上に、9月以降最もRSAAが高かったのが同じ中日の小笠原慎之介だ。月間4勝ということで公式の月間MVPも最有力候補だが、セイバー指標でも申し分ない活躍を示している。よってセイバー目線で選出する月間MVPとしても小笠原を推薦する。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。