「眠れぬ夜」が増えた“投打二刀流”の日々　日本ハム・上原健太の挑戦は今？

投手としてのヒントを得た打者挑戦、次は結果を残す番

　もちろん、二刀流に取り組んでいる以上、投球のヒントを得ただけで良しとはしない。打者としても1軍戦力になるには、まず2軍で結果を残さなければならないのはよく分かっている。

「僕がファームで他の選手より打っていればいいですけど、現状はそうじゃない。僕はファームで1本もヒットが出ていない。それが1軍で打席に立ったら、2軍で頑張っている打者は『どうしたらいいんだ？』となりますよね」

　現状ではまだ、打撃の得意な投手。他の野手とおなじ土俵に立とうとすれば、いちばん足りないのは経験だ。そこを補うために、参加の決まっているフェニックス・リーグでは実戦の打席に立ちたいと願っている。

「試したいとか、こうしたいな、というのは、実戦で打席に立たないとなかなか出てきません。変化球が来たり、タイミングを崩される打席を実際に実際にやっていかないと“本当の感覚”は出てこない。練習である程度甘く投げてくれる球をいくら打ったところで、わからないと思うんです」

　今季、実は眠れぬ夜が増えたのだという。投手と打者の双方でプレーするため、考えることが増えたからだ。「バッティング練習でこうしたいとか、ですね。考えることは間違いなく増えました」。木田2軍監督は二刀流での1年間を「上原のいろんな可能性のためにやっている意味が、今のところは大きいかな。ただチームを助けてくれる可能性を持っていると思うので」と、今後は打者としての成長にも期待をかける。

　かつて日本ハムには大谷翔平投手が在籍。首脳陣、球団と様々な試行錯誤を経て、投打両面の開花に導いた歴史がある。大谷は上原とは逆に、1年目から野手として先に1軍戦力となり、投手としてはトレーニングが必要だった。他球団では見られない挑戦から、今度はどんな選手が誕生するだろうか。

（羽鳥慶太 / Keita Hatori）