新境地に到達したダルビッシュ “終戦後”の「まだまだってところ」が意味するもの

登板2日前にブルペン入りを前に遠投を行うパドレス・ダルビッシュ有【写真:木崎英夫】
登板2日前にブルペン入りを前に遠投を行うパドレス・ダルビッシュ有【写真:木崎英夫】

フォーム映像など収めたiPadを常に携帯「しっかり考えるようになった」

 ワイルドカードでプレーオフ進出を果たした今季のチームの躍進を安定した投球で支え続けた。30試合に登板し自己最多に並ぶ16勝を挙げ(8敗)、クオリティスタート(6回以上自責3以下)はリーグ1位の25度を数えた。その安定の裏には、自身のフォーム映像などを収めた「虎の巻」とも言うべき“iPad”が大きく寄与している。

 愛妻との外食の際にも携帯する宝物。今シリーズ第1戦の前日会見では「基本的に(シーズン中は)ずっとオン。それをしないと相手のことを本当の意味で理解するということは多分できないと思います」と明かしたダルビッシュは、改めて言葉を重ねた。

「いつも言うように、相手打者の研究であったりとか、前回の反省からどういうふうに自分はやっていけばいいかとか。次の対戦相手を見て、登板間のブルペンであったり、キャッチボールでどういうことをやればいいかっていうのをしっかり考えるようになりました」

 その一端を見たのが、2日前のブルペンでの投球練習だった。プレートの踏み位置がシーズン序盤と同じほぼ中央になっていた。ところが、崖っぷちに立たされたこの日の試合開始直後で数球を投げると、ダルビッシュは、右打者へのシンカーをより効果的な軌道にするため、わずかに三塁側へと移した。これが奏功し2併殺を記録。逆に、今シリーズ第1戦では、プレートの三塁側に置いていた右足を“数センチ”中央寄りへと動かし、内角への切れ込み過ぎを修正した。

「頭を使うピッチャーになってきていると思います」

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