新境地に到達したダルビッシュ “終戦後”の「まだまだってところ」が意味するもの

「頭を使うピッチャーになってきていると思います」

 己も相手も知って戦いに臨んでいる。

「今、自分はどっちかというと、ピッチングをしているという形ですね。自分のスタッフ(持ち球)で抑える、切れとかエグさとかっていうよりかは、1試合の中でしっかり組み立てを考える、頭を使うピッチャーになってきていると思います」

 36歳の今、“知力の最大出力”を上げることへ快感を覚える新たな領域の中にいる。しかし、7年前の思いは明らかに違っていた――。

 右肘の靭帯を損傷し、修復手術を受け単調なリハビリを繰り返していた2016年の春のことだった。ダルビッシュはこう言った。

「同じ球速の球でも、全力で投げてその数字と余力を残して投げてその数字が出るのでは、意味合いが違う」

「エンジンという部分ではちょっと持たなかった」

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