監督やコーチに「ハイしか言えない」 異色の指導者が反面教師にする“昔のやり方”

「狙いを理解して練習すれば、子どもたちは上手くなる」

 長坂さんは、その答えを聞き「体で止めてもアウトは取れないよね。打球が怖いのは当たり前。体で止めるのは技術のあるプロ野球選手の最終手段」と説明する。動物は恐怖を感じると体が動かなくなることや、目で打球を追って体の横で捕球した方がアウトにできる確率が上がることなどを伝える。「子どもは大人が思っている以上に素直です。強制しなくても大人が道をいくつか示せば、何がベストか、なぜなのかを考えるようになります」と力を込めた。

 長坂さんが少年野球で必要性を訴えるのは、子どもたちが指導者に質問できる「当たり前」の関係性だ。子どもたちには「指導や練習の目的を考えてほしい」と説く。それ以上に大切なのは、指導者の姿勢。指導者には、選手が質問しやすい雰囲気をつくり、質問に答えるだけの知識を身に付ける役割があると考えている。

「狙いを理解して練習すれば、選手はより上手くなります。言われたことを黙ってやる、失敗したら怒られると思いながらプレーするのは、野球をする目的が変わってしますし、野球が嫌いになってしまいます」

 子どもの疑問に大人が答える。長坂さんは米国で見た「本来の姿」を日本でも広げようとしている。

(間淳 / Jun Aida)

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