野球の“真髄”が詰まった4時間半の死闘 WS初戦…両軍に見えた監督と選手の“絆”
フィリーズ指揮官「大した仕事はしていない。仕事をしているのは選手」
試合前の会見で、ベイカー監督は、時々の状況で見て取れる各選手の意思を代弁するかのように、こう述べた。
「私がこれまで指揮を執ってきたチームの中で最も能力が高い選手の集団のうちの一つであるだろうが、今のチームはこれまでで最も勝利を期待できる。またそれを期待してプレーしているのが彼らなんだ」
敵将のトムソン監督は味わったワールドシリーズ初勝利に率直な気持ちを表した。
「最高だね。気持ちは高ぶっている。逆転で勝ったのだからね」
そして、こう続けた。
「コーチたちと大事な場面で意見交換をしては助けてもらっている。私がしたのは選手交代などの最終的な決断だ。大した仕事はしていない。仕事をしているのは選手たちだ」
6月途中に解任されたジョー・ジラルディ監督の代行としてタクトを振ってきた同監督の謙虚な姿勢と穏やかな口調は大舞台でも変わらない。
両軍の指揮官と選手が心で通じ合う今シリーズが面白くないはずがない。第2戦が間もなく始まる――。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)