野球の“真髄”が詰まった4時間半の死闘 WS初戦…両軍に見えた監督と選手の“絆”

両軍主力が見せた全力疾走…ルールに抵触しそうな走塁も

 73歳の名将ダスティ・ベイカー監督率いるアストロズと、カナダ出身の監督として初めてワールドシリーズに進出した59歳のロブ・トムソン監督が指揮するフィリーズとの戦いは、随所に見ごたえのあるプレーにあふれていた。

 技術と、勝負への執念に満ちた4時間半の激闘――。

 タッカーの先制ソロが出た2回裏の攻撃。1死一塁の場面で右打席に立った8番チャス・マコーミックは、ゾーンを外れ内に食い込んでくる94マイル(約151キロ)速球を右前に運び、走者を三塁へ進め2点目を生む後続の安打を呼び込んだ。大谷翔平のチームメートで夏場のトレードでエンゼルスから移籍したフィリーズの9番ブランドン・マーシュも見せた。5回の第2打席で、ボールの内側にバットを入れるインサイドアウトの意識で内角低めの直球を捉えると、スライスした打球が見事に左翼線に切れ込み、5-5の同点に追いつく反撃の口火を切る二塁打とした。

 懸命に走る姿が両軍にあった。

 長打が売りのアストロズの2番ヨルダン・アルバレスが内野ゴロで一塁へ疾走。6番のユリ・グリエル(元DeNA)は投手左への当たり損ねの打球に全力で一塁ベースを駆け抜け内野安打を稼いだ。得点には結び付かなかったが、メジャー通算8年で22盗塁のフィリーズの1番カイル・シュワーバーは、終盤に入った7回に重圧をかける二塁盗塁を敢行し成功。アストロズの1番アルトゥーベは、9回にこの試合初安打で出塁すると、次打者の初球にスタート。得点圏へ足で突入した。

 さらに、この日2ホーマーのタッカーの走塁も見逃せない。10回裏、1死二塁の場面で空振り三振を食らうが、ボールがバウンドしたのを察知すると振り逃げを試み一塁へ猛ダッシュ。途中、一塁線の内側を走りリアルミュートの送球ミスを誘う動きに出た。ルールに抵触するが、みすみすアウトを献上する淡白な走りには、もろさのない「窮地に追い込まれても諦めない」気持ちが映っている。

フィリーズ指揮官「大した仕事はしていない。仕事をしているのは選手」

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