サンタにお願い「ブルペンほしい」　中日・山本拓実が167cmでもプロになれた訳

中3で投手候補7人に入れず→夏の大会で背番号1をつけるまで成長

　野球への意欲がどんどん高まっていき、それが技術向上につながっていった。身長は小学校卒業時で138センチと小さかったが、めげなかった。中学から硬式の兵庫タイガースに入団。3年生のとき、投手候補7人に呼ばれなかったが、自分から監督に「僕もピッチャーの練習してもいいですか」といって“8番目”に。こつこつ努力して他の投手が故障したりするなか、気がつけば夏の大会のときには背番号1になっていた。

「自分でいろいろ調べて、考えて、どうしたらひとつ上のステージにいけるかということがわかっていたと思います」。高校は進学校の市西宮。入学時は160センチで中学3年間で22センチ伸びたが、まだまだ小さい。でもそれを相手に小馬鹿にされると逆に燃えていた。「黙らせようとズドーンと投げたら、みんなびっくりして、それが快感だったそうです。気が無茶苦茶強いですからね」と勝三氏は頼もしそうに話した。

　練習を重ね球速もアップした。高校入学時の球速は122キロ。それが1年夏には130キロ近くになり、2年夏には139キロ、3年春には145キロが出た。比例するように体重が増加していた。体付きが変わった。腰回りなどが大きくなった。以前は少食だったが、懸命に頬張り、加えて「嫁が栄養のバランスをよく考えて食事を準備していましたね」。

　山本投手は2017年のドラフト会議で中日から6位指名されて入団し、来季は6年目のシーズンを迎える。「小さい体で150キロを投げるのは想像できませんでした。ここまで来たのは息子の努力。それが一番です」。野球少年たちに夢も与える167センチ右腕。勝三氏も野球が好きで好きでたまらなかった息子の幼少時代を思い出しながら、さらなる進化を楽しみにしている。

（山口真司 / Shinji Yamaguchi）