ワールドシリーズ取材で蘇った記憶 誰からも愛された“伝説のアナ”と邂逅した26年前【マイ・メジャー・ノート】第10回
息子トッド・カラス氏はアストロズ公式戦テレビ中継を担当する
2009年4月13日、ハリー・カラスは敵地でのナショナルズとの開幕戦直前に心臓発作を起こし帰らぬ人となった。あの日、チームの全員がむせび泣いた。優しい語り口の実況はもう聞けない。ドジャース時代に野茂とバッテリーを組み、後年に移籍したメッツで米野球殿堂入りを果たした強打の捕手、マイク・ピアッツァは少年時代をこう述懐している。
「フィリーズで野球がやれたらもっと楽しかっただろう。僕のホームランに“ハリー”が心を躍らせてくれたらこんなに嬉しいことはなかっただろう」
フィラデルフィアから北西20キロ程に位置するノリスタウンで生まれ育ち、捕手として史上最多の427本塁打を放ったピアッツァはフィリーズの大ファンで、父親と球場に行けないときはハリー・カラスのラジオ実況に耳を傾けた。念願がかない、メジャーに昇格すると、対フィリーズ戦初本塁打を放った時には関係者からカラスの実況テープを入手し、車の中で擦り切れるくらいに繰り返し聴いたという。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)
