4点追う序盤にスクイズは正解? 少年野球でノーサインを可能にする“野球脳”の育成

4点追う2回の攻撃 1死三塁からのスクイズは正解?

 辻監督は最初の座学で、保護者に必ず質問することがある。「初回を終えて0-4で負けていて、2回表の攻撃で1死三塁のチャンスをつくった場合、スクイズで1点を取りにいきますか?」。この問いに、ほぼ全ての保護者は「スクイズでは1点しか取れないので、打って多くの点を取りにいった方がいい」と答える。すかさず辻監督は、こう説明するという。

「たった今、何と言いましたか? 野球は合計得点で勝敗が決まるスポーツです。2回から1点ずつ得点を重ねれば6イニングで計5点、最終的に5-4で勝てるんです」

 この考え方を保護者が理解しないと、チームに“弊害”が生まれる。多賀少年野球クラブの象徴とも言える「ノーサイン野球」を体現する子どもたちに、迷いが生じてしまうのだ。辻監督は続けて言う。

「無死二塁で打席に立った選手が2ストライクと追い込まれた後に、何とかバットに当てて進塁打を打ったとします。保護者が座学を受けていないと、『何で当てにいったんだ。フルスイングしろ』と帰りの車で子どもたちを注意してしまいます。選手はサインがない中で、できれば安打、最低でも進塁打と自分で考えた打撃をしたわけです」

ノーサイン=フルスイングは誤解 選手自らベストな方法を実行

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