「お前らは史上最低な代」　最後の近鉄戦士が後悔する、高校時代の指揮官との“衝突”

高校野球最後の夏を迎え「早く負けたら、いっぱい遊べる」

　主将剥奪から気持ちを入れ替え、全力で練習に取り組んだが、何の結果も残せないまま最後の夏を迎えようとしていた。新チーム結成当初は「兵庫の中心になる」と、意気込んだが、気が付けば他の強豪私学は手の届かない存在になっていた。

　大谷智久（元ロッテ）、尾崎匡哉（元日本ハム）を擁する報徳学園は神宮大会、選抜大会と秋春連覇。兵庫どころか全国トップクラスのチームが同県に君臨していた。

「あの時が一番、どん底だった。主将じゃなくなってからも何をしても怪我をするし、チームを勝たせることができない。ましてや、あの頃の報徳はちょっと次元が違った。もう、これは夏も甲子園は無理やろなと。早く負けたら、いっぱい遊べる。そんなことばっかり考えてました」

　1年生エースとして同校初の甲子園に導きながら、新チームは夏まで県大会未勝利。ジェットコースターのような高校野球人生を歩んでいたが、最後の最後で“やんちゃ軍団”はミラクルを起こすことになる。（続く）

（橋本健吾 / Kengo Hashimoto）