会見で語るのを嫌がった“背番号98の理由” 京田が刻み付ける傷と横浜での新たな人生
トレードに素直な思い「正直、うれしい気持ちもありました」
そして、もうひとつ。新天地で用意された晴れの席では、未来のことを語りたいとの思いもあった。珍しい背番号の選択に話が集中すれば、見てくれているDeNAファンはどう思うだろうか。もう中日の京田陽太ではない。トレードで自らを欲しがってくれたDeNAの一員。トレードが決まって「正直、うれしい気持ちもありました」。素直な思いが溢れ出た。
バラ色の横浜生活が待っていると思うほど、お気楽な立場ではない。「全力でがむしゃらで頑張る」。その意味を誰よりも理解していると思っている。成績を見れば下降線。今季は自己ワーストの43試合出場にとどまった。DeNAの遊撃にはベテランの大和や売り出し中の森敬斗らがいるが「ポジショニングや打者の特徴はとらえているつもりなので、そういうところを武器に」。ルーキー時代からレギュラーを担ってきた自負はある。
来年4月で29歳。包んでくれる横浜の空気は温かいが、“外様”に与えられる時間はそんなに長くはない。「98」に込めた思いは、グラウンドで表現していく。11月にトレードが決定した時、ただ一度だけ、亡き戦友の名前を口にした。それが全て。
「雄介さんがくれた、最後のチャンスだと思っています」
(小西亮 / Ryo Konishi)