イチロー氏元通訳の人生変えたTV番組 米国からオリに送った“売り込みレター”
テレビ番組見なければ「今も地元大阪で教師をしていたはず」
当時のオリックス球団代表だった井箟重慶氏が直接電話を入れてきたのである。1990年10月に「オリックス野球クラブ株式会社」に採用されると、翌年からは投手コーチに就任したジム・コルボーン氏の通訳が主な仕事になった。そして、本当に夢見た扉が開く。オリックスがマリナーズと業務提携を結び、末吉氏は1998年の1月から出向の形でマリナーズ球団に勤務し、2000年から正式に球団付となったのである。
「今はあの頃とは違った方向へと進んでいますが、今も野球にかかわる仕事ができているのですからとても幸せなことです」
ウインター・ミーティングの会場には、野球関連企業の関係者に売り込みをかける若者の姿もあるが、末吉氏の道のりを知ると、人の人生は何が縁で変わるかわからないという思いになる。
末吉英則氏は最後、しみじみと言った。
「フィルダーの番組を見ていなかったら、僕は今も地元大阪で教師をしていたはずです」
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)