雑用ばかりで「野球をやめてしまう」 元鷹ドラ1左腕が中学生指導に生かす“失敗”

変則フォームの右腕に周囲は「絶対に直したほうがいい」も…

 指導が行き渡るように各学年を20人に決め、入ったばかりの1年生には全員を試合に出場させ、チャンスを与えている。投手に対しては「下半身の使い方ぐらいしか教えていません。その子にあった投げ方がある。まだ、そこまで理解できない年頃の選手に腕を意識させると、上半身と下半身のバランスがバラバラになる」と、選手の個性を尊重している。

 明らかに間違った投げ方をしている子どもには丁寧に基礎を教えるが、コーチ陣にも肘の角度など細かな部分の指導は控えるように伝えている。チームを創設してから6年目を迎えた今年。現在の高校3年生はちょうどチームの1期生にあたる。田中氏の指導は着実に実を結んでいた。

 1期生には当時、変則フォームの右腕が在籍していた。周囲からは「絶対に直した方がいい」と指摘を受けたが、田中さんは「そのままで大丈夫だよ」と、本人の意向を受け入れた。その後、日本航空石川に進学後は背番号「10」を背負い、140キロを超える変則右腕として注目され、エースと共に2枚看板として活躍した。

 整体師としても子どもたちの体のケアを行い、無理のない練習環境を作っている。まだ、体の出来ていない中学生には「投げない勇気も必要。監督やコーチにも自分の意見を伝えることが大事」と話している。自身が味わった経験を糧に、田中さんは将来のプロ野球選手たちを育てていく。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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