近藤健介を逃したオリ…吉田正尚の穴をどう埋める? 森友哉が背負う“2つの期待”
通算打率.289で、得点圏は.318の勝負強さを発揮
森は今季やや不振だったとはいえ、OPS.718と捕手としては水準以上の数字を記録していた。通算打率.289、通算OPS.834という数字を残してきた森が期待通りの活躍を見せれば、オリックス打線にとっては大きな上積みとなりうる。先発投手によっては森がDHに入って、今季68試合に出場した若月健矢捕手と共存することも可能となるため、チームにとっても選手起用の幅が広がることは間違いないだろう。
通算打率.289に対して通算の得点圏打率が.318。キャリアを通じて勝負強さを発揮している。2019年には得点圏打率.411を残し、今季も得点圏打率が.275。年間打率を.024も上回っている。四球を三振で割って算出する、選球眼を示す指標の「BB/K」にも注目だ。森は打率が.300を超えているシーズンは優秀な水準に達し、打率が2割台中盤のシーズンは数字を落としている。この数字は調子を表すバロメーターといえるが、2021年には1.215という、非常に優秀な数字を記録していた。
キャリア通算の四球率は.116と一定以上の数字を記録。とりわけ、2021年は四球率がキャリアベストの.152に達し、IsoDも初めて.100を上回った。三振率も.125と自己最高の数字を記録しており、首位打者を獲得した2019年と比較しても、選球眼を含めた打者としての完成度は着実に高まっている。出塁率.447という圧倒的な数字を残した吉田正が抜け、チャンスメークの面でも大きな痛手となる。その点、森は年間出塁率.400超えを果たしたシーズンが3度存在し、通算出塁率も.374と高水準。大黒柱が抜けた穴を最小限にとどめてくれる可能性もあるだろう。
優れた選球眼と勝負強さを兼ね備えた森の打撃は、今季のオリックスに足りなかった部分を補うものだ。2017年以降の森は奇数年に打率.300以上を記録しており、隔年で大活躍を見せる傾向にある。この法則が続くならば、2023年は好調のシーズンになるはず、という点も、縁起の良い要素の一つといえよう。27歳にして豊富な経験と実績を備える森の加入は、あらゆる意味で非常に大きな“補強”となりうる。まだ伸びしろを残す好打者が地元・大阪でどんなプレーを見せてくれるか、ファンならずとも要注目だ。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)