近藤健介を逃したオリ…吉田正尚の穴をどう埋める? 森友哉が背負う“2つの期待”

入団会見に臨むオリックス・森友哉【写真:橋本健吾】
入団会見に臨むオリックス・森友哉【写真:橋本健吾】

森は2019年に首位打者…パ捕手では54年ぶりにMVPを受賞した

 今オフのFA戦線もようやく決着がついた。西武からFAとなった森友哉捕手は、来季オリックスでプレーする。小学生の時に「バファローズジュニア」の一員としてプレーした経験を持つ森にとっては“古巣復帰”だ。オリックスは主砲の吉田正尚外野手がメジャーリーグ挑戦のため退団濃厚。日本ハムからFAとなった近藤健介外野手の獲得もかなわなかった。強打の捕手として知られる森は、新天地にどのようなプラスをもたらすだろうか。波及効果について考えていきたい。

 森は2013年ドラフト1位で西武に入団。1年目から1軍で41試合に出場して打率.275、OPS.945という数字を残すと、翌2015年には20歳にして規定打席に到達。打率.287、OPS.825をマークした。2016年は2年連続の規定打席こそ逃したものの、前年を上回る打率.292を記録。この2年間は捕手ではなく指名打者や外野手で起用されたが、2017年に捕手に復帰。同年は故障で38試合出場ながら打率.339、OPS.934の数字を残した。

 2018年には捕手として、自身初のベストナインを受賞した。2019年には打率.329、23本塁打105打点を記録。パ・リーグの捕手では野村克也氏以来、54年ぶり2人目となる首位打者を獲得し、自身初のリーグMVPにも輝いた。2020年は打率.251だったが、昨年はリーグ2位の打率.309を記録し、自身3度目のベストナインを受賞した。今季は故障離脱もあって序盤戦は低調だったが、夏場以降は復調。最終的には打率.251だったが、守備の負担が大きい捕手としては十分に優れた打撃成績を残している。

 次に、オリックスが2022年に記録したチーム全体の打撃成績を見ていきたい。チーム打率.246と安打数1164本は、それぞれソフトバンクに次ぐリーグ2位。長打率.377も同2位、出塁率.317は同3位と、主要な数字は一定以上の水準にあった。一方で、得点数は4位、本塁打数は89本でリーグ最下位と、得点力と長打力には欠ける部分があった。打率と出塁率が示す通り、塁上に走者を出すことはできていた。そのうえ、リーグトップの犠打数114が表すように、得点圏に走者を進める機会は十分に多かった。しかし、得点数を見る限りでは、そうしたチャンスメークを得点に結びつけきれていないことは否めない。

 今季の規定打席到達者は全部で5人。とりわけ、今シーズンのパ・リーグで2人しかいない3割打者のうちの一人だった吉田正尚外野手はOPS1.008とあらゆる面で高いパフォーマンスを発揮した。しかし、その吉田正がポスティングによってMLBに移籍したため、穴埋めは非常に厳しいミッションとなる。吉田正を除くと、規定打席到達者の中でOPSが.700台に達しているのは中川圭太内野手ただ一人という事実が、チームにおける吉田正の存在の大きさを物語っている。

通算打率.289で、得点圏は.318の勝負強さを発揮

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