指導者が担う「攻略本」の役割 口出しは逆効果…重要な“質問できる環境作り”
分からないと言える環境づくり 指導者から選手へ積極的に質問
質問するまで動かない指導のポイントは2つある。まずは、選手が分からないと言える環境をつくること。子どもたちが疑問や質問を口にできなければ、上達するのは難しい。そこで、チームの指導者は、選手に野球以外の質問を積極的にしている。
「例えば、最近の流行やSNSの使い方などを指導者が子どもたちに質問して学んでいます。大人も分からないことがあるのは当り前と気付いてもらえれば、子どもたちも質問しやすくなります。分からないことがかっこ悪いという空気感には絶対にしません。分からないことをそのまま進めるほど危険なことはないと思っています」
そして、もう1つ大切にしているのは、選手に質問された時にアドバイスする知識。「攻略本」になるためには、選手の悩みを解決する指導力が求められる。
新潟クラウンの活動は土日祝日のみで、1回最大4時間。保護者の当番はない。外部からは時に高いと指摘される1万円の月謝は選手に還元されている。
指導者たちは研修を受けて指導の引き出しを増やし、練習に外部のトレーニングコーチを招くこともある。選手の打球速度や角度、肩や肘への負担を最新の機器で計測するなどデータも活用。選手の成長につなげている。江藤監督は「指導者はボランティアという考え方を変えていく必要があります。指導の質を保つには知識も準備も必要です」と力を込める。
ゲームに熱中するように、選手が野球を楽しみながら上手くなる指導は着実に前へ進んでいる。「大人の手を離れるほど、選手としてもチームとしても強さを感じます。選手たち同士で話し合ったり、教え合ったりするようになっています」と江藤監督。主役の選手を「攻略本」としてサポートする。
(間淳 / Jun Aida)
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