怒らない指導で「勝手に上手くなる」 部員増、全国V達成…小中学校指揮官の共通点

上一色中・西尾弘幸監督 怒る指導をやめて念願の全国大会出場

 辻監督は怒って選手を動かすのではなく、選手が楽しんで「勝手に上手くなる」仕組みをつくった。すると、保護者にも変化が生まれた。練習に顔を出す人数が増え、積極的に選手をサポート。チームの雰囲気は見違えるように明るくなったという。

 10年前は25人ほどだった選手の数も現在は約100人まで増加。辻監督は「全国大会には20年以上前から出ていますが、選手が増えたのは指導方針を変えてからです。勝つことでは、部員は集まりません」と語った。

 西尾監督も辻監督と同じ考え方だった。指導者による怒声罵声が強く問題視され始めた7年ほど前、怒る指導をやめたという。西尾監督は「少し我慢してみたら怒らなくても指導できる、きちんと話せば選手に伝わると感じました」と振り返る。

 西尾監督が率いる上一色中は当時、全国大会出場まであと一歩届かなかった。だが、指導方針を転換すると繰り返し全国大会に出られるようになり、今夏は初めて日本一も達成した。

 保護者も変わった。怒らなくなってから、グラウンドに来る保護者が増えたという。西尾監督は「自分の子どもがミスして怒られる姿を保護者は見たくないですよね。練習の見学や体験に来る子どもも、指導者が怒ってばかりいるチームには入ろうと思いません」と話す。

 失敗から指導方針を改めた辻監督と西尾監督。チームを強くしたい、部員を増やしたい指導者へのヒントとなったはずだ。

(First-Pitch編集部)

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