「どんな顔で帰ればいいのか」 失意に沈んだシドニー五輪…忘れられぬ痛恨の1球
メダルを逃して落胆も「唯一、救われたのは選手の絆」
試合は1-3で敗れ、野球では史上初めてオリンピックのメダル獲得を逃した。プロが初参加し金メダルを狙っていたが銅メダルすら手にできず帰国することになった。
「どんな顔して日本に帰ればいいのか。悔しさもありましたが、唯一、救われたのは選手たちの絆。中村さん、田口さん、黒木さんたちがアマチュア選手に寄り添って一つになった。アマチュアでも赤星(元阪神)、沖原(元阪神)ら皆が明るくチームの雰囲気は素晴らしかった」
鈴木氏は2012年に現役を引退。オリックスでのコーチを経て、現在は韓国プロ野球・KTウィズの2軍バッテリーコーチを務めている。シドニー五輪での経験は「分かっていてもこの球をいかないといけない場面がある。晩年で抑え捕手としてやる時の決断に生きましたし引き出しも増えた」と、今でも心に残っている。
古田の代役、アマチュア選手の夢舞台、メダル獲得。3つのプレッシャーと戦い抜いた鈴木氏。NPB、そしてメジャー組も参加する来年3月のWBCを陰ながら応援している。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)