トレード告げられた席で“悔し涙” 「いらない選手ってこと」砂田毅樹が泣いたワケ

新天地での復活に燃える「新たな挑戦ができるという気持ち」

 非凡な打撃センスに俊足を持ち合わせていたこともあり、高田GMや吉田スカウト部長から「ダメなら打者転向も視野だ。獲るならそれくらいの覚悟で獲れ」と言われた河原スカウトは「それでも獲ってください」と訴え、2人を説き伏せたのだった。

 そんな河原スカウトの熱意も実り、砂田は晴れて2013年育成ドラフト1位でDeNAの一員となった。かつて河原スカウトから「俺のクビがかかっているんだから頼むぞ」と冗談交じりにハッパをかけられ、新年になると高田GMから「今年もピッチャーやるのか」といじられていた左腕は、2年目で支配下をつかんでプロ初勝利をマーク。2018年には70試合に登板して24ホールドをあげたもののその後は出場機会を減らした。2021年に58試合登板と復活の兆しを見せたが、今季は15試合で防御率5.68に終わって、プロ10年目は新天地に移る。

「トレードって、相手球団が欲してくれているけれど、うちにとってはいらなくなった選手ってことかなって僕は思うので。横浜に獲ってもらって、河原さんのおかげでここにいるし、今の自分があるので、こういう形で離れるのが申し訳なく悔しかった」

 河原スカウトに率直な思いを伝えると「頑張っているし気にすることはない。いい機会だから、中日でも頑張ってこい」と送り出された。チームが変わっても、担当スカウトと担当選手の絆は変わらない。

 砂田自身も、新たな場所での復活に燃えている。「中日に必要としてもらった。僕にとって大きなチャンスと思って頑張りたい。今は本当にやってやる、という思いですし、新たな挑戦ができるという気持ちです」。流した涙は、来季への原動力となる。

(町田利衣 / Rie Machida)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY