突然の定位置剥奪「予想スタメン全部、俺が外れてる」 危機を救った“鬼軍曹”の帰還
燕移籍で完全復活も「メディアの予想スタメンを見ても全部、俺が外れてる」
今季限りで現役を引退した坂口智隆氏が、20年の長きにわたってプロ野球生活を過ごせた要因の一つがヤクルトでの一塁手挑戦だった。打撃を生かすため一塁挑戦を提案したのは当時、ヘッドコーチの宮本慎也氏。“最後の近鉄戦士”と呼ばれた男の野球人生を振り返っていく連載の第11回は「鬼軍曹との出会いで生まれたキャリアハイ」。
ヤクルトに移籍した初年度の2016年に141試合に出場し打率.295、翌2017年も136試合に出場し打率.290と再び不動のレギュラーに返り咲いた。守備でもリーグ最多の9補殺、守備率1.000を記録するなど攻守で欠かせない存在となり「自分の選んだ選択は間違っていなかった。まだ、まだやれると思えた」と自信を手にしていた。
だが、2018年に再びレギュラー陥落の危機を迎えることになる。沖縄・浦添で行われる春季キャンプに向かうため空港のロビーで携帯を見ていると「青木宣親がヤクルトに電撃復帰!」のニュースが流れた。メジャーでも実績を残した左打ちの外野手。完全にポジションが被る坂口氏にとって人ごとではなかった。
「嘘やろ! 青木さん戻ってくるんや。メディアの予想スタメンを見ても全部、俺が外れてる。そりゃそうだな……」