「メンタルを鍛える必要はない」日本一の少年野球チームが大舞台でも緊張しないワケ

多賀少年野球クラブ・辻正人監督【写真:伊藤賢汰】
多賀少年野球クラブ・辻正人監督【写真:伊藤賢汰】

滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督「メンタルは鍛えられない」

 滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督は、「なぜ多賀の選手たちは緊張しないのか?」「多賀の選手たちはメンタルが強い」と周囲から声をかけられる。チームはメンタルトレーニングをしているわけではない。大舞台でも平常心でプレーできる理由は「安心」と「諦め」だという。

「野球に緊張する場面はありません。メンタルを鍛える必要はありませんし、鍛えられないと思っています」

 辻監督は野球の競技特性や戦術について選手に座学をすることはあっても、メンタルトレーニングの時間は設けていない。試合でパフォーマンスを発揮するために必要なのは心の強化ではなく、「野球を熟知すること」と考えているためだ。

 例えば多賀少年野球クラブには、1死三塁をつくれば1点取れるという共通理解がある。安打ではなくとも、アウトと引き換えに内野ゴロやスクイズなどで走者を生還させる戦術と技術があるため、1死三塁、さらには1死三塁をつくりやすい無死二塁のチャンスができた時点で得点を確信する。

 1死三塁や、それ以上のチャンスで打席に立つ選手は「絶対に点数を取れる」と自信を持っている。心の中を占めるのは「安心」。緊張や不安はない。

緊張は準備不足、失点する「諦め」で強気なプレー

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