引退から13年後、楽天監督に「右でも左でも…」 “両投げ投手”が目論んだNPB再挑戦
楽天初代監督の田尾安志氏に「練習に参加させてほしい」
まずはゴルフだったが、その後、再び野球のことが気になってきたという。「野球に関しては目を閉ざしていた感じがあったんですが、10年くらい経ったら、それがなくなってきたんです。もともと野球好きですから。また、やってみようって思い始めたんですよ」。草野球で復活したわけではない。何とNPBへの返り咲きをもくろんだ。ターゲットは2004年オフにオリックスと近鉄の合併により、誕生した新球団・楽天だった。
近田氏は阪神時代の先輩であり、楽天初代監督に就任した田尾安志氏に「練習に参加させてほしい。右でも左でも投げますので見てくれませんか」と頼んだという。なかなか大胆すぎるアクションだが「意外とちょいちょいそういう行動をするんですよ、僕は」と気にせずに突き進んだ。「田尾さんには『いいよ』って言われたので、無茶苦茶練習しました。走って、走って、投げて、投げて。92キロあった体重も68キロまで落としました」。
だが、楽天への練習参加は実現しなかった。「田尾さんから外国人枠の問題もあるし、難しいって連絡がきたんです。もっとも先日、田尾さんにこの話をしたら、覚えてなかったですけどね」。ともあれ、そう言われれば諦めるしかなかったが、このままで終わりたくもなかった。マスターズリーグに出ることにし、右でも左でも投げた。史上最高のスイッチヒッターと呼ばれ、オリックスや阪神、ダイエーで活躍した松永浩美氏との“スイッチ対決”は話題にもなった。
ゴルフのレッスンプロも継続しながらの久しぶりの“野球生活”だったが、練習の成果もあってか「右も左もめっちゃ投げられるようになったなぁと思いましたよ」と近田氏は言う。そして、また芽生えた、さらなる野望が……。今度は米国マイナーリーグへの挑戦を決意した。ロサンゼルスでの合同トライアウトに参加したのだ。
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)