「詐欺じゃないか」 周囲は心配も単身で渡米…40歳でマイナーに挑戦した両投げ投手

現在は「駅前ゴルフスクール」校長を務めている近田豊年氏【写真:山口真司】
現在は「駅前ゴルフスクール」校長を務めている近田豊年氏【写真:山口真司】

米国で2度、日本の独立Lで1度テスト参加「根本は野球が好き」

「根本はやはり野球が好きってことでしょうね」と近田氏は笑みを浮かべる。いずれの挑戦もゴルフインストラクター業務を続けながらだったが「楽天も、アメリカも、独立リーグも、もしも合格していたらゴルフをやめるつもりでした。レッスン生の人たちにも、そうなったらやめます、すみませんと言いましたよ。みんな、頑張ってねみたいな感じで送り出してくれたんですけどね」と言う。そして大胆な行動はまだ続くのだから、恐れ入る。

「社会人の関電グループ硬式野球クラブに自分から連絡しました。42歳ですけど、まだ選手でいけるでしょうかってね」。投手兼コーチで加入した。これもゴルフとの“二刀流”。「野球は週3回、あとはゴルフのレッスンという生活でした」。スイッチピッチャーも続けた。試合でも投げた。さらにはコーチ業でも結果を出した。近田氏のゴルフレッスンはデータ、数字を駆使して教えるものだが、それを投手指導にも応用したらうまくいったという。

「毎回50球投げて、何球ストライクが入ったかをデータに取った。投げ方は好きなようにやっていい。とにかく月ごとにストライク率が高い人をエースにしますという方針も打ち出してね。これをちゃんとやった子は3か月後、140キロの球を投げ出しました。コントロールだけ気にしたらスピードが上がった。動きに無駄がなくなったんです」。そんな生活は48歳まで続いたそうだ。

 現在、関西でトップ規模の18店舗、会員数2500人を誇る「駅前ゴルフスクール」の校長を務める近田氏は57歳になった。「このゴルフスクールは49歳の時に始めました。教えるというより、サポート。気持ちよく来てもらって、気持ちよく帰ってもらう。インストラクターにはとにかく笑顔でっていうのを研修しています」。驚くことに、それでもなお野球も続けていた。まだスイッチピッチャーでもあった……。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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