育成落ち経験した“苦労人”が感激10勝 ブルペンは鉄壁に…投手王国「再建」した西武
苦労人・與座海人が初の2桁勝利&自身初完封も達成
先発陣で高橋に続く存在だったのが與座海人だ。2017年にドラフト5位で入団したアンダースロー右腕の道のりは決して平坦ではなかった。1年目はケガに泣き、2018年オフにトミー・ジョン手術を断行。育成契約を結び、1年間リハビリに励んだ。2020年に支配下登録に返り咲いて2勝を挙げるも、満足した成績を残せず。しかし、2021年10月に1軍昇格を果たした際には、3試合に先発登板すると、いずれの試合でも5回以上を投げ自責点1以内に抑える好投を披露し、飛躍が期待されていた。
そして満を持して臨んだ昨季は、3月31日の日本ハム戦に先発登板。敗戦投手になるも、2軍での調整期間を経た後、4月28日に救援で今季初勝利を手にする。すると翌週、5月5日のロッテ戦では、6回無失点で先発での初白星。以降は安定した投球で順調に白星を積み重ね、9月11日に5回無失点の投球で10勝目を挙げた。
試合後のヒーローインタビューでは感極まり涙するシーンも。「ファンのみなさんの声援が力になっています」と感謝を口にした。さらに、7月30日にはソフトバンクを相手に自身初の完封勝利を達成している。11月に侍ジャパンにも初選出されたサブマリンの活躍から目が離せない。
新加入左腕のディートリック・エンス投手も好投を続けた。左打者に打ち込まれる試合もあったが、球威を武器にシーズン通じて安定した投球を披露。9月4日に6回無失点の好投で勝利投手となり、西武の外国人投手では、2019年のザック・ニール以来となる2桁勝利を挙げた。チームの連敗を5度止めるなど貢献度も高く、柘植世那や古賀悠斗ら若手捕手と組む試合も多かった。また、本拠地・ベルーナドームで7勝1敗、防御率1.80と相性の良さも話題に。残留が決まっており、今季も安定した投球に期待したい。