「外野手出身に名監督はいない」は本当か…直近15年のパ・リーグを検証してみた
外野手出身の1000勝監督は1人だけだが…今後は変化の可能性
監督として1000勝以上を挙げた13人のうち、現役時代の主なポジションが外野手だったのは別当薫氏のみ。その別当氏も監督としてのリーグ優勝は一度も経験しておらず、若手の才能を見抜く眼力や、チームの土台作りにおいて手腕を発揮した指導者といえる存在だった。先述した野村氏の言葉は、こうした過去の事例に基づいたものとも考えられる。
しかし、近年のNPBはデータ分析が進み、選手が守るポジションに関わらず、一つ一つのプレーが詳細に分析されている。バッテリーからの物理的な距離が最も遠く、打者との駆け引きや細かい機微からも離れた位置を取らざるを得ない外野手も、その例外ではない。
すなわち、指揮官自身がデータをうまく生かすというだけでなく、選手たちに対して有用なデータを取捨選択し、適切に伝えることで成績を向上させる一助とすることが、監督のみならず、現代の指導者にとっては必要な要素となっているとも考えられる。
そして、西武出身の監督が全てのポジションに存在し、いずれも一定以上の成果を挙げた点も見逃せない。こうした事実からも、現役時代のポジション以上に、現役時代にプレーしていた環境そのものや、現代野球への適応がより重要となっていることがうかがえよう。
秋山氏や栗山氏のような指導者が今後も台頭し、やがては「外野手出身の名監督」と呼ばれる存在が出てくるかどうか。外野手出身の監督が結果を残している近年のパ・リーグにおける潮流が今後も継続するのか否かに、ぜひ注目してみてはいかがだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)